Small dreams≧Real life

ルポライターを目指し日々奮闘中。日常の些細な事も含めて、オリジナル記事や創作したストーリーを載せています。

辻仁成のデビュー作「ピアニシモ」を読んだ。

読書ブーム

最近本を読むペースが速くなってきました。もっと小説を読みたいのですが、時間の制約があるので、優先順位を決めて読むしかないです。他にもしたいことが沢山あるので、1日24時間じゃどうしても足りないですよ。神様にお願いごとが出来るなら、時間をくださいと言いたいです。

 

今回読んだ本は、ロックミュージシャンで映画監督、そして作家と多彩な方面で活躍している辻仁成さん氏の本で「ピアニシモ」です。それで、ピアニシモはデビュー作にあたるそうで、すばる文学賞作品です。

↓↓「ピアニシモ」です。

ピアニシモ (集英社文庫)

ピアニシモ (集英社文庫)

 

 「トオルとヒカル」

主に主人公のトオルとヒカルに軸が当てられた作品です。しかしヒカルは、トオルにしか見えない存在で、いわばもう一人の自分を暗示しています。はっきり言って、トオルは多重人格者だと考えられますね。家庭の愛情不足、両親の都合による度重なった転校に対する精神的な支柱として、トオルが作り出した幻想なわけですね。トオルの生活には、隣にいつもヒカルがいます。ヒカルとの対話でトオルの心の中の本音を聞いてる気分になりました。全体的に暗~い感じのお話ですね。

「転校生の人気」

まだ小学生、中学生の頃は、転校生が入ってくると素直に嬉しかった記憶があります。過度に盛り上げて、一目散にスポットライトを当てる時代がありました。当時はそれが普通で、新しい人が来ると騒ぎ出します。しかし転校生にとっては、迷惑でしかないですよね。ただ転校した事がない自分には分からない部分もあって、彼らが相当苦労して既存のコミューンに入っていく部分を分かってなかったんです。「郷に入れば、郷に従え」のことわざ通り、生きるためには上手く溶け込むしかないわけです。時には偽りの自分を演じ、我慢の連続の日々を送るわけです。しかし、時間が経つにつれて「転校生」の人気は消えていきます。やっぱり、出来上がった集団の一部になるのは大変難しいですよね。よほど器用に振る舞える人でないと・・・・・・。

「いじめ」

この小説のテーマには、「いじめ」が深く関わっています。「学校」と「いじめ」の結びつきは永遠に消滅しない根深い問題なのかもしれませんね。しかし結局「いじめ」は学校だけじゃなくて集団生活の副産物として何処でも生まれると分かっています。

しかし本の中で、誰にでも通じる描写があると思います。いじめの残酷な描写、被害者の心理描写など、一度は経験したことがある部分があると思います。ここまで綿密に描写されていると、ノスタルジックと言うか、既視感を抱きます。ぼくの場合「いじめをする側」と「いじめられる側」の両方を体験したことがあるので、両方の気持ちが痛いほど分かります。もちろんどちらでもない第三者は、見えない権力への恐怖から加害者側に加わり、加害者集団は肥大がしていきます。

約30年も前の小説の中の「いじめ」と現在の「いじめ」の本質は変わってないのに、対策が出来ず今なお苦しみ蔓延る現状を考えると次の30年も変わらず同じかもしれないですね。集団で生きる社会的な動物の宿命とも言うべき負の側面を、ぼくたち人間は繰り返してしまいますね。