Small dreams≧Real life

ルポライターを目指し日々奮闘中。日常の些細な事も含めて、オリジナル記事や創作したストーリーを載せています。

戸井十月さんの「アディオスー道端で出会い、そして別れる9つの人生」を読了♪

戸井十月さんの「アディオス-道端で出会い、そして別れる9つの人生」を読みました。

この本は9つの短いストーリーで構成されています。


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本の紹介に以下の言葉が綴られていました。

あまりにもカッコいいので紹介します。

〈熱くて苦い、出会いと別れ。それを繰り返すたびに、僕は少しずつ大人になった。読書界に新風を吹き込む、待望の青春小説集。〉

 え、待って。

たった数行の文の紹介めちゃくちゃカッコいい!

もっと早くこの本に出会えていたら、本の世界に没頭する時期がたくさんあったのかなと思います。

でも、然るべき時に出会えたからそれだけで感謝。

よく考えるみると、これまでの全ての行動がひとつに繋がっていて、ベストタイミングの出会いです。

それに自分の好きな物や人がリンクしていて、嬉しいです。

ちなみに収録されている作品は↓の通りです。

  1. 穏やかな大地
  2. アディオス
  3. 三本の轍
  4. 夜を越えたら
  5. 紅い馬
  6. 遠い港
  7. 熱帯夜
  8. 砂嵐
  9. 風の国 

 

バイク雑誌として、とりわけ有名なGOGGLEに載っていた作品のようです。

これまで戸井作品をたくさん読んできましたが、その中でも群を抜いて素晴らしい作品でした。

ノンフィクションも素晴らしいですが、小説はもっとハマると思います。

一番の魅力が何かと考えたら答えるのが難しいです。

読者に対して安易に媚びを売る文章というより男らしく骨があって図太い文章に圧倒されます。

つい乱暴に突き放されたような感じがするが、気づいた時には引き込まれて癖になっていて本を開いていました。

なんだか不思議な魅力を備えた行動作家派ですよね。

それで中身の方ですが、本のタイトルにもなっている「アディオス」は、いうまでもなく異様に光る作品でした。

ところで「アディオス」の意味を知っていますか?

スペイン語「さようなら、グッバイ」を意味するようで、別れの挨拶に使えます。

 

マイ・ベスト・ストーリー

せっかくこうしてブログを執筆しているので、ぼくが特に心を動かされた話を挙げたいと思います。

一番最初の『穏やかな大地』が、こみ上げてくるものがあって良かったです。

 この話をかなり簡単に説明すると、主人公の片桐がタスマニアを目指してバイクを転がす。目的は仕事とバケーションを兼ねてとなっているが、本当はかつての恋人=純子に会うためだった。2人はタイミングのズレで、結婚するまで至らず別れた。そして時は流れ、純子はオーストラリアに移り住み、現地で医者のダニーと結婚した。純子が仕事でホバートに向かっていて、現地で2人は落ち合うことになった。そしてたった数日の間の再会を楽しむことになった。そして片桐が日本に帰る前の最後の晩に、純子の家に一泊することになる。そこで現在の純子の旦那ダニーと対面する。

その時の対話の場面のやりとりが秀逸!

純子は子供の陽子を寝かせるために席を外した。

そして片桐とダニーが2人で話す。

「あなたには感謝しているよ」

ダニーは改まった顔をした。

「どうしてですか?」

「あなたが、昔、純子と結婚していたら、私と彼女とは出会えなかった。当然、陽子も

生まれていない。今の私の平穏と幸せは、間接的にはあなたが与えてくれたものであるわけだ」

「僕のミスが、あなたの幸せに役立てて光栄ですよ」

片桐が、皮肉をこめて言った。

「私が今までに犯したミスも、世界のどこかで誰かの幸せに役立っていればいいんだが」

ダニーが、ウインクして笑った。

『アディオス-道端で出会い、そして別れる9つの人生』「穏やかな大地」本文 p30~31より引用

この話に限って言えば2人が別れたからこそ、ダニーと純子は結婚することが出来た。

 奇跡的な出会いもあれば宿命的な別れもある。

しかし『別れ』はネガティブなことと捉えられがちだと思います。

本質的には「別れ」から新しい出会いが生まれ、幸せを育む可能性を秘める。

そんな当たり前だけど、忘れてしまいがちなことを思いました。

最後になりましてこの本を薦めたいところですが、絶版で中古市場でもほとんど出回ってないようです(^_^;)

 

アディオス―道端で出会い、そして別れる九つの人生

アディオス―道端で出会い、そして別れる九つの人生

 

 

おわりに

『「旅」の途中で、訪れる運命的な出会いと永遠の別れ』

そんな非日常的な刺激的な世界の体感にぴったりで、ちょ~オススメ作品だよ♬